2020年12月9日(水)/「好き」の源流かけながし状態

KIRINJIのライブでNHKホールへ。ここに来るのは、ヤスの脱退ライブぶり。だから7年ぶり。

 

現体制のラストライブだからと意気込んで、最初の最初の先行でチケットを取ったら、前から3列目という良席だった。キリンジ時代も含めて、こんなに近かったことはなくてきんちょうしてしまう。7年前は2デイズ両方とも2階席、いやもしかしたら3階席だったかも。一緒に行ったPちゃんは、7年前もこのくらいの至近距離で観たそう。チケット運! 

 

今回は席が一個空きになってる分チケット代がなかなかの高額だったけど、その分のお心遣い?なのか、マスクとキーホルダーのノベルティ付き。マスク、可愛いいけどもったいなくて開ける気になれない。そんなこんなしていたら、開演の時間になった。メンバーが近い!高樹!!

 

KIRINJIを生で聴くと、「好き」の源流に触れている気分になる。「好き」の源流かけ流し状態。キザな言い方だけど、ライブは、ミュージシャンと観客が時間や空間を共有する幸福な場。その短い時間のなかで、私たちが共有し得ない膨大な時間のことを思う。舞台に上がる華々しい時間というのは、決して派手ではない、地道な日々の積み重ねによって輝きを増すのだろう。今年は特に情勢も相まって、この場が成り立ったことが特にありがたく感じられる。

 

ライブはKIRINJI体制になってからの曲を中心に、高樹ソロ曲やキリンジ時代の曲も交える、充実の内容だった。もともとライブの本数の多いバンドではないので、前作の『愛をあるだけ、すべて』はたぶん一回くらい、去年秋に出た最新作の『cherish』に至っては一度も生での演奏を聞いたことがなかった。

 

『愛をあるだけ、すべて』から「sliver girl」は最高の没入感、『cherish』はPVを演出に使いながらの「killer tune kills me」そして何よりも「Almond eyes」でゲスト出演した鎮座DOPENESSが衝撃的だった。

 

誰かがTwitterに「野生動物みたいだった」と書いていたけど、出てきた瞬間からその魅力に目が奪われた。動き、おしゃれなのかなんかのかわからない髪型と服装、ラップ、そのすべて、その自由さに体温が上がった。あんなに自由な人間がこの世に存在するという奇跡!いやぁー良いものを見た。。。

 

来年からのKIRINJIは、高樹のソロプロジェクトになる。体制を変えながらも、キリンジ/KIRINJIを続ける高樹に敬意の気持ちでいっぱい。かれこれ20年ものあいだ、波はあるにせよ、一度も飽きることなく聴いてきた。2時間超「好き」の源流を浴びながら、まことに単純ながら、自分も来年はもう少し何かを生み出せるよう、形にできるよう、だけど上ずることなく地道に頑張ろうと、そんなことを思った。