2020年12月11日(金)/A-②活動の継続・再開のための公演

東葛スポーツを観に、北千住シアター1010へ。北千住にはいくつか劇場があるので、演劇を目的に年に数回来ているが、今年はたぶん初。

 

東葛スポーツでは、開演前に演者が直々に缶ビールや缶チューハイを売っていて、毎回飲むわけでもなかったけど、その縁日っぽさが好きだった。その販売もコロナ対策で今回は中止されていて、そんなことでさえ感傷の材料になってしまうなんて。

 

今回の公演は、『A-②活動の継続・再開のための公演』という名前で、最初はピンと来なかったけど、後になってから文化庁の継続支援事業の項目だと気がついた。もしかして、12月にいろんな劇団が公演やってるのはこのせい? と思ったら、川﨑麻里子さんの前説でまさにそのことに触れていた。なるほど。

 

昨日起きたような時事ネタも、もう忘れかけていたようなゴシップも、縦横無尽に盛り込みまくるのが東葛の特徴だけど、どんなエグいネタや深刻な事件を扱っても、そこに感情がすっぽりと抜けているかのような、ドライな印象がある。時事ネタとかいうと、「ザ・ニュースペーパー」みたいなイメージがあるけど、その対極。って、ザ・ニュースペーパーをちゃんとみたことがないので、あくまでイメージだけど。とにかく、東葛の、人を食ったようなところが好きだった。人を食ったような表現が好きなのだ。

 

だけど、今日はちょっとちがった。もしかしたら、これまでも私が勘違いしていたのかもしれない。とはいえ、全然嫌いにならないし、切実さと肩透かしは両立できるのかもしれない。

 

ミヤシタパークを揶揄するような内容に始まるものの、「演劇にする価値もない」と吐き捨て、その後は今年の演劇や表現全般にまつわる苦境が主なテーマになっていった。できればリリックを改めて読みたい。いつもにもまして冴えていた気が。「シアターEASTよりずっとEASTのここ北千住」みたいな。常連メンバーである森本華さんと川﨑さんは観るたびにラップのレベルがバキバキに上がっていて、今回もむっちゃかっこよかった。

 

自分は小さめの劇場で、誰にも介入されず勝手にやりたいことをやりたいようにやっている劇団が好きだけど、それだけで経済的に成り立つのかどうかその内実を知らない。で、たぶん知る必要もない。余計なお世話だろう。今回の公演は、経済面を含めた現実をラップにしていて、自分にできるのは、好きな劇団の公演に足を運ぶことでしかない。

 

石野卓球がよく、「『ファンです』とか言ってくるやつはどうでもよくて、それよりもお金落としてくれる“お客さん“を大事にしたい」と言ってる。だから、こちら側としては、好きなものを作ってる人たちにお金を払っていくしかない。だけど、自分にお金がないとすぐに限界が来る。お金に対して腰が引けている自分だけど、そうやって考えていけば、お金への不要な恐れを振り払えるかもしれない。