2020年11月6日(金)/あなたの技能が世界をゆたかに

書店員さんたちの反応を見るに、上間陽子『海をあげる』は読むべき本だなと思って、こないだ新宿紀伊國屋本店で買っておいた。仕事中に一章だけ読んだけど、これは心して読むやつ。

 

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新刊の情報は、いくつかの書店員さんの発信を見ていれば、だいたい自分の「読むべき」ものが見えてくる。一方、無限にあるはずの既刊についてはなかなか情報を得にくい。膨大にある本のなかに、自分が「読むべき」ものが必ずあるだろうんけど、多すぎるゆえ探し出せない。

 

そんな自分にとって、今日会った友人は、「読むべき」本を知らせてくれる貴重な存在だ。「男性自身が男性性を顧みている本を教えてほしい」と尋ねて教えてもらった、森岡正博『感じない男』は、去年読んだ本のなかでも、衝撃度や満足度が高く、周りの人にすすめて回ったほどだ。

 

そんな友だちが、今年読んだなかで一番良かったかもという本を教えてくれたので、その場で、メルカリで探して買った。30年近く前に出た本。マーケットプレイスでは高いからメルカリがいいと、買い方まで指南してくれる。ありがたい。

 

今度感想を話し合おうと言って別れた。だからその時まで元気でいてください。元気じゃなくてもいいか。とにかくいてくれれば。

 

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人に会うと、人恋しくなる。一人でいたらそんなことはないのに。

 

中野に来てくれた友だちを見送って、たまに行く立ち飲みのバーへ。そんな気分のとき、迷わずに行ける場所があるのは心強い。「こういうのが飲みたい」と言ったら作ってくれて、客の話に同調しすぎないお兄さんの存在が心地よいお店。

 

隣にいたお姉さん、前に私がペロペロだったときに相手してくださった方とわかり平謝り。その後ろにいたお兄さんも、おなじ時にいたことがわかり、「いやいや、僕がいちばん酔ってましたよ!」とやさしい。そのときは、すごく好きな人たちを取材したあとで、知恵熱出ておかしくなってたのです。

 

お姉さんはほんとにやさしくて、わたしがちょっと「こんなことあったんですよー」と話すと、すごく上手に励ましてくれる。話のキャッチ力が抜群に高く、雰囲気が柔らかい。気遣いが上手で、きっと職場でもみんなを中和する存在なんだろうなーと思うけれど、飲みの場でほぼ見ず知らずの人なんぞにあなたの素敵な技能を使わないで!という気持ちにもなる。

 

「あの、なんでそんなにやさしいんですか?」と直球で聞いてみたら、「えっ、酔ってます?」と返されたけど、今日はそんなに酔ってないです。酔っ払うと疲れちゃうから、ほどほどのところでみんなにバイバイして帰った。