2020年12月25日(金)/恥知らずな漲り

こないだ作業場で個人情報をばら撒いていた青年、今日も今日とて。新居は吉祥寺2DKで73,000円。3ヶ月家賃半額。それ事故物件じゃないんですか?大島てるは見ましたか?っていう老婆心と、「隣に“頭のいい高校”あるし」って言ってたけど、それは住環境に関係あるのかなっていう疑問。"頭の悪い"高校よりは治安がいいのかもしれないけれども。

 

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夜、城山羊の会『石橋けいの「あたしに触らないで!」』を観に、下北沢小劇場B1へ。仕事で本番前日の総通し稽古を観ていたけれど、ちょっと気を抜いた隙に起きていた事柄もすべて細かく拾いたいたいので、二度現場で観られることがうれしい。しかも今回は、前回よりも役者さんとの距離が近い席に座ることができた。城山羊の会は、熟練の役者さんたちがミリ単位で調整したような技術で構成される舞台なので、一人ひとりの細かい演技も可能な限り見逃したくない。普段生活している空間と比べた時に、城山羊の会を観ている空間というのは、数倍濃度が濃い。できるだけでも、そのすべてを拾いたい。

 

上流階級の家を中心にした、セックスと嫉妬が入り乱れる110分間。コロナ禍における「濃厚接触」は、通常時以上にリスクを伴う行為であり、通常時以上に甘美なものとして提示される。舞台上の人物たちの、ある種の「浅はかさ」にうらやましさを感じてしまうのだが、それより何よりうらやまさを感じるのは、ただ肌を重ねている関係よりも、島田桃依さん演じるユミコとその夫の、長年一緒に暮らしてきた二人ならではの呼吸だったりする。あの二人の、自然な会話こそが、自分が最も憧れるものである。それと対比されるように冷めた関係の、吹越満石橋けいが演じる夫婦。嫉妬する気持ちが残っているということは、関係性が完全に冷え切ってはいないということなんだろうか。

 

今回の短い取材のなかでは聞ききれなかったけど、山内さんがいつもモチーフとしている、ステディではない関係性でのセックスや、ステディであるなしにかかわらず発生する嫉妬について、もう少し掘り下げて話を聞いてみる機会が持てたらなと思っている。だけど、直接聞いたところでその真意にまったく迫れないような気もする。何かを尋ねて、その質問に100%答えてくれないような劇作家にこそ、強い関心を抱いてしまう。